2015年1月27日火曜日

コーチング理論2

過日、小中学生にコーチング理論は時期尚早だと書きました。今回はその続きです。

学習塾業界は万年の人手不足です。かつては深夜勤務当たり前で、私事ですが、大手進学塾在籍時は残業月300時間超もありました。それが苦痛だと思ったことはありません。ただ、急激な教室展開の結果人の成長に校舎増加が追いつきませんでした。つまり大幅に人の質が低下したわけです。格安系を含む大手進学塾は非常に人の入れ替えが激しく離職率が高いので、良い人材ほどいなくなります。それを証拠に毎年のように大阪や京都を中心にしている最大手の塾は講師の犯罪行為で新聞沙汰になっているのです。雑務9割授業1割の環境で講師として成長できるのでしょうか。

コーチング理論とは自考力と褒めることで成長を促すという欧米の教育理論を基にしているものです。欧米では大人が子どもたちを育てる環境や風土があります。東京や大阪のように見て見ぬふりがベターという発想はありません。

私は今の子育て・教育に必要なものは「情のある教育」だと思っています。何かあれば責任を取らなくてすむような社会になっているよう感じますが、我が子を教える先生に何を望むのでしょうか
。私なら色んなことに一喜一憂してくれる先生がいい。若い先生は色々経験不足からミスをします。40代以降の講師は若い時ほどのパフォーマンスを発揮できません。そんな小さいことより我が子を思い指導してくれることが一番だと思っています。

先生だって人間。様々なミスをします。親も同様で子育てで反省や時には後悔を繰り返します。私が自信を持っているのは子どもへの愛情をあれば小さなミスぐらいカバーできるということです。金八先生の考えは古くても温故知新であり、教育の真理に近いと思っています。研修のとき伝えているのは前向きなミスは気にしない、でも後手に回って何もできなくなったり考えているうちにタイミングを逃してはダメだということです。生きている限り、教壇に立っている限り取り返しのチャンスはあります。

コーチング理論を小中学生相手に若手講師に実践させたらどうなるか。火を見るより明らかなのは、その理論の真意を理解できずに放置することです。そしてやみくもに褒める。果たして子どもたちは自分に対して甘くなるのです。褒めることは非常に難しいです。自分で感じたことは褒められますが、マニュアル化された褒め言葉に言霊は宿りません。

コーチング理論そのものは非常に良いと思っています。ただ、精神的に未熟な小中学生には不向きだと思いますし、そんな技法に走るのではなく「本気で子育てと向き合う姿勢」それで充分代替できると思っています。