2021年1月31日日曜日

思考力

 先週、小5の算数で等積変形の演習と解説をしました。この単元は数学的センスが非常に問われます。学校のテストはほぼ満点の彼らなので、例年よりも少し詳しく解説しました。その後、演習になったとき3割程度の子が正解(これは非常に高い数値)で嬉しく思いました。どう閃いたのか聞いたところ、残念ながら理解したのではなく「数字が2つしか書かれていない。だからこれを掛け算して2で割ればいい」という発想でした。

 子どもは○(正解)が欲しいもの。それは充分理解しています。ただ、センスを養う問題で考えることを始めから放棄して答えだけ合わせるやり方を選んでことが軽くショックでした。授業の冒頭で「思考力の大切さ」について触れてから導入したからです。伝わっていなかったのだなと思うと同時に今後の授業の進め方について再考しなくてはと強く感じました。

 高校生になってから伸びるために「思考力」は重要です。「なぜ」を大切にしなくてはいけません。反面、そこに力を入れると授業を聞いているだけ、座っているだけで終わる子が続出します。

 子どもの頃に様々な種類の脳の使い方をするのは非常に重要で一生ものだと思っています。右脳教育の重要性ですね。ただ、そればかりではいけません。暗記脳(暗記の訓練)も必要です。リハビリや筋トレと同じで一つだけ鍛えるのではなくバランス良く鍛える必要があります。

 今までは定期テストで450点や学年トップを目指してきました。これからはもう少し異なる角度から考えています。つまり思考力を養う授業スタイルです。ただ、これは諸刃の剣で成績不振者を増やすことになるのは私立高校のスタイルから明白です。よってワンセでは暗記を鍛え、全員に最低限の勉強と努力を課しつつ、より上を目指せる子にはテストの点では測れない数学的センスや発想を鍛えていきます。

 そう考えるようになった伏線は今年の高1と現中3の数学を教えた結果です。文理学科対応の数学は一朝一夕にはできません。かけてきた時間と結果は比例しないことが多かったです。よってC問題対策や難問にチャレンジする子はある程度選抜してきました。ただ、昨年東の理数科に合格した子は最終的にC問題で四條畷高校レベルの点数は取れるようになっていました。1年前までは数学で入試が楽になる子はいないと思っていたのに今年では緑YAの急成長を筆頭に、緑FHSKなど文理学科受験生の平均点を取れるようになっています。THAは元来のその力はあるのですが、「ウサギとカメ」のウサギさん休憩状態が長く、今必死に追いかけておいつこうとしている状態です。ウサギ2号の緑OMも走り始め、高校生になってからのレベルアップに期待を遺しました。

 元来、努力型の多いワンセっ子。阪大等の国公立大学理系に行ってもセンスではなく努力型が大半でした。今理解できなくとも脳を鍛え続ければどこかで覚醒する可能性があります。その時を信じて「難しい」「わからない」と言われることでも授業で取り入れていこうと思います。

 教える経験の積み重ねで問題を見れば誰が解けて誰が解けないか大体わかります。もっとわかるのは「今、解説している言葉を誰が理解しているのか」です。ワンセではわからない、自分にはハイレベルだ、と言われても脳をしっかり活性化させるために思考力を問う問題をやろうと決めました。