2023年1月29日日曜日

卒業生へ~贈る言葉~プロローグ

 コロナ禍で入学した世代。多感な時期に空前絶後の自粛を強いられた世代。コロナに罹患しないことが最優先だったこともあり、勉強の格差が非常についた世代。第22代の彼らとの思い出は格別です。世の中は、自己肯定感や自主性を尊重するようになり「個性」という言葉で注意される機会が激減しました。

 彼らに伝えていたのがコミュニティ(集団)について。子どもも大人も様々なコミュニティに属しています。一番基本的なコミュニティは家族です。そして、学校・部活・お稽古、もちろんワンセもその一つです。そこには法律よりも細かい「マイルール」が存在します。門限であったり、家事のルールであったり。コミュニティに属している限り、決められたルールは守るか、正しい手段で変更するかしかありません。都合の良いときだけ所属していたい、そんなことは大人になると無理になっていきます。

 コミュニティの中で自己流の解釈や言動を続けると浮きます。そして、抜けなくてはいけなくなります。世の中は子どもを「お子様」扱いするので、精神的に幼い時期は優しいのか、冷たく突き放されているのかを感じ取れないこともあります。それを指導するのが親であり、先生であり、地域の人々だったのが、ややもすると親の責任に全て向かいつつあります。

 だから「子育て罰」という嫌な造語ができました。世の中が他人に対してどんどん無関心になっていき、上辺で接する機会が増え、親以外からの愛情を感じる機会が減っている子どもが増えているように感じます。私のような子どもたち全員に感情移入しながら一喜一憂して接する塾は化石になるのでしょう。果たして、厳しく細かく接した最後の世代が今の中3生になると思います。宿題忘れや時間の管理、勉強への姿勢も口うるさく注意しました。既に宿題をきちんとするのが当たり前、という考えは通用しない時代になっています。ルールを守る、そんな私にとって当たり前のことが難しいことになってきました。時間や提出物のルールをも守れない人が社会に出たらどうなるのでしょう。18歳になったら、突然出来ることではありません。だからこそ、小中学生の基本的な姿勢は大切だと今でも思っています。

 卒業する彼らはそれを守れる子たち。次回より「贈る言葉」シリーズの始まりです。