2023年1月22日日曜日

教授力

 教授力=教え授ける力。

 教えることを生業にして30年を超えました。学生時代のバイトを含むと+3年です。ワンセ開業前は国語がメインでときどき英語や社会を教えていました。今は数学がメインになっています。先日、スタッフと話していたのですが、歴代でも非常に勉強のスペックが高かったと思う子の過去問結果と最近の子たちのテスト結果を比較すると年々平均点が上がっています。では、過去の生徒より現在の生徒のほうが能力的に上回っているでしょうか。答えは「否」です。

 プロ野球選手で世界のホームラン王の王貞治氏は「現役のときでも今の投手のボールは打てない」と現在のレベルの高さについて述べています。同時に「自分が今と同じトレーニングをしていれば今の選手に負けない(成績を残せる)」とも、おっしゃいました。

 私も教える技術が年々上がっています。その糧は過去の不合格者です。もっと教授力があれば同じ時間でも効率的な指導ができた、今でもずっとその思いは変わりません。今の教授力で過去にセンスのあった子を指導するともっともっと多くのことを伝授できたでしょう。

 数十年この業界にいて飽くなき向上心で授業をしている先生をほとんど見たことがありません。大半の人が惰性と経験からくる諦めで、情報の上書きをせずにその場しのぎの授業をしています。ウチの大学生講師が大手塾の教壇に立てば講師アンケート一番になれるでしょう。学生講師のデメリットは経験不足なことです。ただ、教えることの経験なら1、2年あれば充分以上に身に付きます。逆に経験からくる諦めは先生も生徒も成長を止めます。

 「この問題は過去に解説してもほとんど理解できなかったから今年は軽く流そう」こういう考えはベテランになれば当然生じる取捨選択です。怖いもので「出来ない」と思って教壇に立って解説するのと「これはちゃんと理解して欲しい」と思って解説するのでは結果が大きく異なります。

 ワンセの大学生講師の担当教科の平均点と、私や足立の担当教科の平均点では差がありません。定期テストでも入試の過去問でもです。むしろ私が教えるよりも高かったのではないかと思うこともあるほどです。先生はみんな、テストの結果を気にしており、過去との比較をして一喜一憂しています。学生講師でも、ベテランに負けられないという気持ちは必ず持っているので、教え方の上手い下手ぐらいは先生の気持ちと時間でカバーできます。先生も子どもたちも切磋琢磨して成長し続けていける塾でありたいです。