前編では事実を中心に書きましたので、後編は主観100%でいきます。
もうね、日本の教育は迷走中です。文科省のお達しは教育の現場を知らない人からのものでずれまくっています。アクティブラーニングに代表されるように、肝いりの企画もあっという間に無き者にされます。次の無き者はバカロレアでしょう。海外の大学に通学するのが前提の学科に、大阪府だけで1000人規模の希望者が出るとは思えません。
今回の大阪府高校入試改編には文科省・大阪府教育委員会・政治・私立中高の各々の言い分があるわけです。でも、それらから一応独立した機関である大阪府学校教育審議会が今後の大阪府の教育の在り方について「提言」しました。
維新が大阪の府政をになったときもそうですが、それまでの事前準備は全て白紙になります。昨年、私立の無償化に吉村知事が非常に強いこだわりをもち、具現化しました。結果、私立専願者が大幅に増加し公立高校の約半数が定員割れ。本来は、大阪府において上位校を公立にしたい府教委の思惑通りです。そこに、公立高校が不人気であると聞き、口を挟んだ人の意見を、マスコミが思いの外報道して「大阪府公立不人気を解消しないと」という流れになります。ただ、現場として誰がそれを望んでいるのでしょう。
府教育委員会や大阪府学校教育審議会を聞いていると、有識者は本当に現場を知らず、引っ掻き回しているだけだとも思います。現場を知らない教育委員会も然り。私立中高は、昨年度は無償化問題で、今年は高校入試の時期について大阪府と丁々発止の最中です。
私から、乾いた笑いしかでない、公立(文科省)私立の方針について。文科省は中学校現場に読解力の向上をスローガンに掲げて授業時間外に対策をするよう要求しています。現場としては、そんな時間やノウハウがないのでかなり苦労しています。何より、国語の授業で考えさせたり、心情理解について意見を聞いたり、正しい文章の作り方をしていないのが一番の問題です。週に4回ある国語の授業で生徒たちが頭を使う授業をすれば思考回路が養われます。これは、週に1度の塾の授業では残念ながら徹底できません。授業を疎かにして、補講するとは笑止千万です。
また、私立高校は質の高い教育はお金がかかると言っています。つまり、授業外で有料の講座を設けるということです。一見、まともな意見に聞こえます。そもそも、私立にしろ公立にしろ、質の高い授業をしている学校がありません。これは、毎年継続して学校現場(授業)を見に行っている人間として感じていることです。自校の授業レベルを低下させておいて、質の高い教育にはお金がかかるとは本当にどうしようもありません。今、「予備校なしで国立大学に導いてくれる高校はどこですか」と聞かれたら「残念ながらなくなりました」と答えます。
私は常々、学校は表、塾・予備校は裏の存在だと考えています。だからこそ、中学校の先生の立場を優先しています。それでも、北野高校や、京大に合格しようとしたら大多数の人に塾・予備校は必須なのです。塾業界に身を置く人間ですが、非常に嘆かわしい。研究熱心な先生方が多い学校もありますが、そこに指導できる人がいないのです。何を指導すれば学力向上につながるのか全く知らないのです。理想は塾などなくても学校教育だけで進学できることです。
今回の高校入試システム変更で「大人の事情」により多くの受験生が大変な状況になります。ワンセに通塾している子たちは対応できても、情報をしっかり持っていない受験生は何を勉強してよいのかわからない状態になるでしょう。特に一年目は未知なものに効率良く対応できるはずがありません。腹立たしいことに、焦る受験生の親につけこんで〇〇ゼミという全く役に立たない有料補講を増やす塾が一気に増えます。ぼったくり塾が幅を利かす時代はまだまだ続くでしょう。耳当たりのよいフレーズと塾生が多いという理由で塾選びして、塾ジプシーが増えると思われます。全うな学校と塾だけが残るの理想です。