2025年10月23日木曜日

今は昔③

 時系列を戻して私が学生時代、まだまだ若くて血気盛んだった頃です。当時はLDやADHD等の言葉が広く知られていない頃でした。

 そんなとき、小学6年生の男の子が入塾。勉強はできませんでしたが、温和な笑顔が印象的な子です。中学生になり、クラスで下から一番の成績。当時の私は、勉強すれば誰でも何とかなるものだと思っていました。授業後、英単語の覚え込みにつきあいました。100回書いても「pen」「this」が覚えられません。というかほとんど定着しません。それでも、時間をかけて努力していました。結果に結びつかず、いつしか短ランを着て学校一番の不良になっていました。そんな彼が中3の夏になる頃「俺は本当に勉強嫌いだ。勉強さえしなければいいなら何でもする」という言葉と共に退塾し、中卒で就職しました。

 無知な私は「どうして高校にいかないのか」「中卒で働くなんて」と自分の陳腐な価値観の中で感じていました。現場仕事をするようになった彼が16歳になる夏に偶然会いました。同級生が夏休みを満喫する中で「先生、俺ホンマに働いて良かった。嬉しい!」小学生の頃の笑顔で言いました。中学生の頃の反骨心は勉強への裏返しだったのでしょう。休まず働く彼を非常に頼もしく思います。同時に、勉強はしないとダメ、高校は行くもの、という自分の固定観念を恥ずかしく感じるようになりました。また、勉強しても覚えられないこともあることを知り、後のLDを知るきっかけになりました。