2024年9月21日土曜日

続・大阪府高校入試選抜変更

 大阪府教育員会に提言された内容。1.入試時期の前倒し2.一度の出願で第2希望まで受験可能3.アドミッションポリシー(以後AP)選抜(仮称)です。順番に考察していきましょう。

 3月に誰が発言したのか「大阪府公立高校の定員割れはけしからん」という内容。これを受け、なぜか、入試時期を早めれば公立人気が回復するという究極の謎理論。それに伴い招集された議会では教育委員会・現場の意見は全く反映されない内容。その提言・答申が冒頭です。

 来年度は2月20日に行われる大阪府特別選抜(5教科以外の専門学科を課す高校)。再来年度よりこの時期に一般入試と一本化するの本命です。すると、2月10日に行われている私立入試もコロナ・インフルによる予備試験(含1.5次試験)の段取りを勘案すると1月末に実施する必要がある。そうなると、公立中学校と私立高校の話し合いが、3学期早々に行われている(近隣他府県は12月)時期を早めることを検討しなくてはいけない。等々、多くの機関を巻き込みます。

 次に、一度の出願で第2希望まで可能にする方式ですが、これは私にとって大きな興味の対象です。現在公立一般入試の英数国ではABCという3段階のレベルの入試問題が作成されています。文理学科は3教科共にC問題なのでわかりやすいです。第一希望北野、第二希望天王寺と書けば、北野高校には不合格でも天王寺高校の合格基準点に達していれば合格できるということです。ただ、問題採択がB・Cで異なる被害・旭高校などの組み合わせでは整合性が取れなくなります。すると、現行の3種類の問題から旧制度のAB2種類になり出題内容も根本的に変更される可能性があります。また、出題傾向も大幅に変更されるでしょう。一年目は大変です。例えば、国語では作文・小論文・論述と変遷されてきた歴史があります。作文に戻ることはないでしょうが、文字数やタイトル・条件などが新傾向になることを考慮して授業しなくてはいけません。英語はリスニングや英語のみの問題になるかなど様々な形式を視野に入れた指導が必要です。

 そして、第二希望まで書けることにより上位公立人気につながるでしょう。果たして、甚大な影響を受けるのが、現在文理学科からの戻り率(公立不合格)が高い私立高校です。偏差値60少しで国公立大学合格実績を稼いでいる層がいなくなれば、生徒集めの死活問題になる高校も出てくるでしょう。反面、下位公立高校の不人気により、校風の安定した私立高校は人気が出て、私立無償化の恩恵を最も受けるかもしれません。私立高校の思惑は理念の相違により、大阪府私立高校として一枚岩になることは難しいです。

 AP選抜(仮称)ですが、現在公立一般入試において入試順位90%~110%の層がボーダーゾーンと呼ばれており、高校独自の基準(AP)と自己申告書で選抜できます。ただ、文理学科ではこの制度で合格するのは一校一名いるかどうかでシステムが形骸化(無意味)されており、この制度を活用しているのは総合学科ぐらいです。そこで、新制度では1.ボーダーゾーンの撤廃2.AP選抜(仮称)を優先枠で設る3.入試科目・実施方法など高校独自で決定。更にAP選抜(仮称)で出願しない生徒への自己申告書廃止するという答申です。検討時期として、大阪高専前期の1月末という案はなくなったよう少し安心しました。AP選抜(仮称)も同日に行い、同一校で異なる選抜方法をできるようにする可能性があります。大阪高専の前期・後期を同日に行うイメージですね。

 ただ、現在の中2から実施するにはあまりにも拙速な判断が求められます。遅くとも毎年8月に行われているOMMビルでの説明会では完全に私立・公立共に詳細を決定し発表できなくてはいけません。そのためには春先には入試時期・選抜方法について決定しておく必要があります。逆算すると、今から議論しては間に合わず、ある程度上意下達になります。今の議会の構成メンバーを見ていると、府教委・市教委・私立高校の意見に耳を傾ける意思はなく、現場を知らなかかったり、ニッチな現状を針小棒大に取り上げるようになるのでしょう。少なくとも、今回の入試制度改革にボジティブな意見を現場サイドから聞いたことはありません。