2024年9月25日水曜日

速報・大阪府高校入試選抜方法、受験生の出来事

  大阪府教育庁は拙速な入試選抜方法だという多数の批判を受け、実施時期を最短で令和10年(現小6)からとすることに決まりました。一度の試験で第二希望まで出願できることや、アドミッションポリシー選抜入試(仮称)を新設するという強い意向は変更なし。ただ、私立高校や大阪府教育委員会との意思統一は全くできておらず、今後の迷走が予想されます。ちなみに、現中1までは現行の入試制度で公立高校はABC問題を維持する可能性が高くなったので、その点では一安心です。現在小学6年生以下のお子さまがいらっしゃるご家庭は今後の動向に注視してください。

 そんな状況で中3は進路相談をしています。ワンセはかなり早い段階から進路について考える機会を用意し、高校合格がゴールにならないよう話をしています。今年の卒業生に、昨年最も注意したのが志望校について考えていなかったことです。毎年毎年耳にタコができるほど言っていますし、昨年の受験生が志望校を考えていないという発言をしたときにどのような対応をしたのか現中1、2は聞いたいたはずです。そんな中、水曜日から個人面談を実施。今回の最大の目的は11月の実力・五ツ木の結果が出て、志望校に到達できていない場合、第二希望の学校を決めることです。もちろん、少し偏差値を下げて考えることになります。9月になってからずっと、考えてきて欲しい旨も何度も繰り返し説明してきました。昨日は6人しか話せまんでしたが、3名が「第2希望は考えていない」という発言。3名中2名は偏差値的にかなり届かない学校を希望し、1人はぎりぎり合格できるかどうかのところです。ちなみに3名とも志望校合格を目指すには全く勉強量・質・気持ちが届いていません。

 私は、私立の先生方にワンセで真面目に勉強してこなかった子のことを「この子はワンセとして恥ずかしくない子です」と絶対に言いません。それが高校側への礼儀であり、信頼関係だと考えているからです。名前を出して相談しなかった子たちは、やはり高校でご面倒をかけていることが大半です。

 ワンセの最大の目標は志望校に絶対全員合格。偏差値が足りないから志望校を下げるという考えはありません。偏差値10上の学校を志望校として口に出したなら、それに見合う課題を伝え、努力してもらいます。努力出来ないなら引導を渡しますが、足りないだけで諦めるのはナンセンスです。ただ、前述の3人は自分が至っていないという現実を受け止めることなく、漠然と「合格できるだろう」と考えていたようです。高校訪問をするたびに「この校風に合いそうな子は誰だろう」と考えています。大学や将来の夢についてヒアリングし、実現できる可能性が高くなる高校を勧めたいと本気で考えています。アドバイザーであり、進路の押しつけをしてはいけないとも思っています。でも、その理論が通用しなくなったことに対して、気持ちの整理をしなくてはいけません。よく「愛情=補習」と言っていますが、重い思いを冷ます必要があるのでしょう。自分の進路なのに周りの大人(親・私)だけが焦っているのは色々感じることがあります。

2024年9月21日土曜日

続・大阪府高校入試選抜変更

 大阪府教育員会に提言された内容。1.入試時期の前倒し2.一度の出願で第2希望まで受験可能3.アドミッションポリシー(以後AP)選抜(仮称)です。順番に考察していきましょう。

 3月に誰が発言したのか「大阪府公立高校の定員割れはけしからん」という内容。これを受け、なぜか、入試時期を早めれば公立人気が回復するという究極の謎理論。それに伴い招集された議会では教育委員会・現場の意見は全く反映されない内容。その提言・答申が冒頭です。

 来年度は2月20日に行われる大阪府特別選抜(5教科以外の専門学科を課す高校)。再来年度よりこの時期に一般入試と一本化するの本命です。すると、2月10日に行われている私立入試もコロナ・インフルによる予備試験(含1.5次試験)の段取りを勘案すると1月末に実施する必要がある。そうなると、公立中学校と私立高校の話し合いが、3学期早々に行われている(近隣他府県は12月)時期を早めることを検討しなくてはいけない。等々、多くの機関を巻き込みます。

 次に、一度の出願で第2希望まで可能にする方式ですが、これは私にとって大きな興味の対象です。現在公立一般入試の英数国ではABCという3段階のレベルの入試問題が作成されています。文理学科は3教科共にC問題なのでわかりやすいです。第一希望北野、第二希望天王寺と書けば、北野高校には不合格でも天王寺高校の合格基準点に達していれば合格できるということです。ただ、問題採択がB・Cで異なる東・清水谷高校などの組み合わせでは整合性が取れなくなります。すると、現行の3種類の問題から旧制度のAB2種類になり出題内容も根本的に変更される可能性があります。また、出題傾向も大幅に変更されるでしょう。一年目は大変です。例えば、国語では作文・小論文・論述と変遷されてきた歴史があります。作文に戻ることはないでしょうが、文字数やタイトル・条件などが新傾向になることを考慮して授業しなくてはいけません。英語はリスニングや英語のみの問題になるかなど様々な形式を視野に入れた指導が必要です。

 そして、第二希望まで書けることにより上位公立人気につながるでしょう。果たして、甚大な影響を受けるのが、現在文理学科からの戻り率(公立不合格)が高い私立高校です。偏差値60少しで国公立大学合格実績を稼いでいる層がいなくなれば、生徒集めの死活問題になる高校も出てくるでしょう。反面、下位公立高校の不人気により、校風の安定した私立高校は人気が出て、私立無償化の恩恵を最も受けるかもしれません。私立高校の思惑は理念の相違により、大阪府私立高校として一枚岩になることは難しいです。

 AP選抜(仮称)ですが、現在公立一般入試において入試順位90%~110%の層がボーダーゾーンと呼ばれており、高校独自の基準(AP)と自己申告書で選抜できます。ただ、文理学科ではこの制度で合格するのは一校一名いるかどうかでシステムが形骸化(無意味)されており、この制度を活用しているのは総合学科ぐらいです。そこで、新制度では1.ボーダーゾーンの撤廃2.AP選抜(仮称)を優先枠で設る3.入試科目・実施方法など高校独自で決定。更にAP選抜(仮称)で出願しない生徒への自己申告書廃止するという答申です。検討時期として、大阪高専前期の1月末という案はなくなったよう少し安心しました。AP選抜(仮称)も同日に行い、同一校で異なる選抜方法をできるようにする可能性があります。大阪高専の前期・後期を同日に行うイメージですね。

 ただ、現在の中2から実施するにはあまりにも拙速な判断が求められます。遅くとも毎年8月に行われているOMMビルでの説明会では完全に私立・公立共に詳細を決定し発表できなくてはいけません。そのためには春先には入試時期・選抜方法について決定しておく必要があります。逆算すると、今から議論しては間に合わず、ある程度上意下達になります。今の議会の構成メンバーを見ていると、府教委・市教委・私立高校の意見に耳を傾ける意思はなく、現場を知らなかかったり、ニッチな現状を針小棒大に取り上げるようになるのでしょう。少なくとも、今回の入試制度改革にボジティブな意見を現場サイドから聞いたことはありません。


2024年9月20日金曜日

秋の高校レポート⑥常翔学園高校

  車検に車を持って行き、色々修理箇所を指摘され想定外の出費に追われそうです。そんな、今日は常翔学園高校にお邪魔しました。校長補佐の力が強く、目の色が黒い間はより良い方向に導いていくでしょう。ではレポート。授業態度3、教授力3、校風3.5 お勧め度3.5。今風の私立で無難な高校です。

2024年9月19日木曜日

秋の高校レポート⑤常翔啓光学園高校

 中秋の名月が終わり、6時前には日暮れになるのに残暑が厳しいです。30分ほど早く到着し、座って涼める場所を探していましたが、意外とないものです。さて、レポート。授業態度3、教授力3.5、校風4お勧め度4。国公立大学合格実績が非常に伸びており、職員室の風通しが良いです。後日、書こうと思いますが、教育として成り立っている学校は非常に少なく、稀有の教育している高校ですね。授業の質もその名の通り上昇傾向です。

2024年9月18日水曜日

秋の高校レポート④関大北陽高校

 今、大人気の大学付属である関大北陽高校。北陽から関大北陽になった頃は内部進学率の低さが話題になったこともありましたが、今は昔。関大系列3校の中でも最もバランスの取れた高校です。また、レベルが年々上がり専願での合格難易度も大阪でトップクラスです。ここより高い私立高校はほとんどありません。ではレポート。授業態度2.5、教授力2.5、校風4、お勧め度4.5。志望者の95%以上が内部進学で関大に行けるのは、その他の全てを凌駕する魅力です。楽しい校区生活、真面目に過ごせば保証される関大。人気が出ないわけがありません。ただし、授業のレベルは決して高くはなく、高校の授業だけで関関同立(関大以外)や国公立には導いてもらえません。近高同様、国公立大学を狙うならば予備校必須です。

2024年9月17日火曜日

秋の高校レポート③近畿大学附属高校

 今日は中秋の名月です。月を見てみましょう。「月がきれいですね」と言われたら夏目漱石を思い出し、心ウキウキです。知らないと絶好の機会を逃すことになるかもしれませんよ。ちなみに満月は明日18日です。

 そんな本日は近高にご訪問。2年生に在籍している子たちの課題を聞きました。来年は吉報をお願いしたいのでしっかり頑張ってください。ではレポート。授業態度2.5、教授力2、校風3.5、お勧め度4。全ての評価を凌駕する近大への進学率は唯一無二です。近高の進学や関北を希望している保護者の方にはお伝えしているのは「本気で勉強するのは中学生で最後の可能性が高い」ということです。近高・関北共に希望者の大半は内部進学できます。本気で学問したい子は医療系以外にはあまりいません。昨今の子どもたちなので授業妨害する子は皆無です。辞めることさえなければ、大学卒業の安心なパスポートをゲットできるのですから、魅力的です。これからも人気が衰えることはないでしょう。

2024年9月14日土曜日

秋の高校レポート番外編大阪桐蔭・好文学園女子

  大阪桐蔭は起死回生を狙ったエクシードクラスの第一期生が卒業し、東京阪神への合格率では推定大阪トップになりました。そんな大阪桐蔭の無常観について。

 旧大阪産業大学附属大東校舎のとき、偏差値40前後で第二次ベビーブームでピークで生徒集めに困らず左団扇(ひだりうちわ)でも、あぐらをかいていても教室が足りないほどの時代です。教員の年収も今よりはるかに高かったです。そんな時代が永遠に続くと無意識に夢見ているのが普通なほどバブルでした。いち早く、少子化を予測し、男子校から共学化、それに備えて野球部を創設し甲子園で初優勝して一気に知名度が爆上がり、ミーハーな(死語)女子高生が集まりました。同時に平日夜遅くまで強制的に勉強させ、入口の偏差値からはあり得ない程の合格実績を出し続けました。特色を出して選ばれる高校創りのパイオニアですね。

 ただ、経営については度々マスコミを賑わせました。「塾接待に100万円バッグ」「模試費用の流用」「大阪産業大学を大阪桐蔭生は全員受験」などは、大きく報じられた代名詞でしょう。体質はかなりブラックですが、対生徒に関しては真剣な時期、手抜き時期、クラスによって対応が大きく異なる時期があります。高校部門ではⅠ類Ⅱ類の生徒が全然集まらず、大半の生徒がⅢ類という状況になっていました。

 好文学園女子は旧大阪福島女子で、昭和の末期から大きく変わった学校です。福女時代から生活指導面で推しの高校の一つでした。偏差値は30少しだったので、偏差値70前後の高校と同じベクトルでは考えていません。一番の目安は退学率です。当時、退学率3%前後が平均で偏差値に反比例していましたので、退学率が3%未満なら良い高校です。生徒指導に力を入れ、学校が落ち着いてからは新たな学科を増やし、学力も向上しました。何より、学科毎の特色が明確で、お預けした卒業生を例外なく伸ばしてくれました。これは大きなポイントです。全盛期の大阪国際大和田もそうでした。

 勢いが衰えていくと、例外が出始めます。件の大阪国際大和田では特待生レベルを専願でお預けしても結果が出ない子が数年続きました。合格実績が良くなり、学校の先生方が予備校に行かなくても大丈夫!と言い続け、予備校に通った子の合格率が高く、そうでない子の合格率が低迷しました。何度も「予備校なしで大丈夫」と言わないで欲しい、旨を伝え通塾率が上がり合格率も上昇して落ち着いたところで合併と新校舎移転で人気を博します。それでも勢いは止まり、安定して良い高校になりました。

 好文学園女子はどうなるのでしょう。校長一人のマンパワーでは目の行き届く限界を感じた今年。授業見学はしておりません。期待値は高いものの、盛者必衰になるのか、不死鳥の如く羽ばたくのか、非常に注目しています。