2016年4月14日木曜日

間違いだらけの塾選び~はじめに・個別塾大手編~

マスコミ企画で「間違いだらけの塾選び」というタイトルで原稿を書いてみないか、というお話をいただいたので、いくつかのパートに分けて試しに書いていこうと思います。

学習塾は大きく分けると「個別」「集団塾」の2種類で、個別・集団塾のどちらでも「大手」「フランチャイズ」「個人」があります。本稿では、それぞれのデメリットとわずかなメリット、数少ない向いているタイプのお子さまを紹介しようと思います。前提条件は小・中学生を対象とする学習塾であることです。

「個別塾・大手編」

ごく一部の塾を除いて社員が直接子どもを指導することはほとんどありません。なぜでしょうか。正解はコスト(月謝)にあります。例えば年収300万円の社員一人に支払う人件費(会社負担額)は400万円程度になります。社員は最大で月20日×1日最大コマ数5=100コマ分、年間3600コマ分の授業することが可能です(本当はそんなに授業していません)これを月謝で考えると400万円÷3600=1111円、つまり時給1100円で1コマ90分の場合、1日2コマ分受講すれば3300円×4週=1ヶ月1日約13200円で会社にとっては人件費が払えます。ただし、家賃・利益を考慮すると1日2コマ受講するだけで3倍の約4万円が必要です。これを時給1000円の質の低いバイトを大量に雇い、運営することで利益を得ているのです。つまり薄利多売です。それでも1:2スタイルの個別で週2日、4コマ受講すれば3万円弱の月謝にしなくては会社としての利益は得られません。会社として薄利でも家計を支える立場からは超高額ですよね。

では、ごく一部の大手塾がどうして社員が個別講師をできるのでしょうか。理由は明白です。その社員の人件費が安い=新人(に近い)だからです。高給なベテランを薄利な個別講師にすることなど経営的にありえないのです。

ここからが最も大切なことです。個別に向いている子は自分で勉強ができて、元来の「地頭」が良い人です。なぜなら、講師に教授力(教える力)や子どもの管理能力がないからです。自己管理すら怪しい学生が小中学生の管理をできる可能性は…その世代の保護者ならわかりますよね。

ちなみに「同じ質問を3回聞いても笑顔で答えます」というキャッチフレーズの大手個別塾がありました。正直な感想は「アホちゃうか」です。3回聞いている間にその子の周りとの差はさらに開いていきますよね。根本的な解決をしていないわけです。穴だらけのザル(のような知識)で一番上の部分だけを長時間かけて補修しても、根本(どこからわかっていないか、できない原因)を補修しない限り、何もできないことに変わりありません。何ができていないか見抜き、取捨選択する力は経験でしか得られませんし、マニュアル化は絶対に不可能です。

個別塾は雨後のたけのこ状態でどんどんできています。多展開に人材の成長は全く追いついていません。結果、校長・教室長と呼ばれる人は例外なく若手です。彼らにとって、子どもは「お客さま」ですからご機嫌を損ねるようなことは(宿題忘れをとがめたり、躾に力を入れたり)決してしません。社員にとって一番のお客さまは保護者であり、一番恐れているのは出世や評価に直結する「保護者からのクレーム」です。成績が上がることが大切なのではなく、やめずに継続受講し長期休暇時にコマ数をたくさん受講してもらうことが一番大切なのです。