2019年6月11日火曜日

言う後悔と言わない後悔

 説明説明会で長い時間を頂いて話した主体性についてですが、今の19歳世代にしつこいほど言わなかったことを軽く後悔しています。結局、希望通りの進学先だったのは半数もいません。高校時代に流されたり、自信過剰の結果です。彼らが現役中学生のときに言いましたが、みんなの実力を把握している自信があるので、どの時期に勉強をすればどんな結果になるのか想像できます。卒業してからマメにコンタクトを取っているわけでもないので、本当に細かい状況は把握できていません。ある程度信じるしかないのですが、伸びなかったことが残念です。

 そして現役世代。今の中2は閃(ひらめ)くセンスは劣るものの努力でカバーして見た目の点数をある程度取ってきています。その結果が450点前後なので、中学校では周りから「賢い」と言われることが多いでしょう。努力でテストの点数を取っている子は妄信してはいけません。「うさぎとかめ」の典型的なかめタイプ(努力型)がワンセでは大半です。小学生の高学年まで努力せずとも高得点を取れても中学生になると少しずつ下がっていきます。

 ところで、身体に成長期があるのと同様、脳にそのような時期があります。そして、それは個人差が激しく、早熟型から晩成型。早熟型は勉強においてアドバンテージがあるので好きになる傾向がります。逆に晩成型は何をしているのか理解できないことが多く、好きではなくなりがちです。そんな極端でなくとも、伸びる時期は必ずあります。そして、その時期は永遠ではありません。身長など身体の成長は目で見てわかりやすいですが、脳は見えないのです。

 あるとき、勉強が得意ではない子をお預かりし、成長期を強く感じたので色んな方法で勉強させようとしましたが前向きになることはありませんでした。それ以降、中学生を預かる責任として眼前の課題をできるよう指導し、実力をつけることに専念していました。本来の塾の仕事は預かっている期間、責任を持って指導する͡͡͡͡͡͡͡͡͡͡͡͡こと。その本分は全うしてきたつもりです。ただ、主体的な勉強はできていないので高校生になってから気づけるかどうかという責任からは背を向けました。

 でも、今年のように言わなかったことを後悔するなら少し厳しいですが、現況を率直に伝えようと考え直しました。見た目の点数は悪くないことに胡坐(あぐら)をかき、やればできる子と思い込み、成長期を逃そうとしている子に対して現実を伝えました。みんなの前では名指しにしませんが、私の思いを伝え、個別に話をしました。見た目の点数が悪くなく、勉強できていない自覚がないので理解しにくいようです。特進の子たちに期待することと、標準の子たちとでは内容が異なります。周囲からも期待値の高いことを言われていることを知っているため、自分の立ち位置に気づいていません。すでに特進どころか標準の下のほうにいるのに「かつての栄光」で自分ができるつもりになっており、客観的な自己分析ができていないことに対して話しました。今、気づけばまだ間に合う最後です。それでも自覚が芽生えないと「小学生の頃は賢かった」と大人になってから言う子になってしまいます。

 勉強において、期待される重さと期待されない寂しさのどちらが辛いのかは個人差があります。彼らに現況を伝えて、思うところがあるでしょう。それに対して私もずっと悶々としてます。気づかないまま高校生に問題を先送りしたほうが幸せだったのかもしれません。でも、成長期は待ってくれないので、最終警告を出しました。遠回しに言い続けてもきづかなかったのでストレートに。頭を使うだけで今後の人生の選択肢が大きく変わるのだから使って欲しいなぁ。