2016年1月15日金曜日

最大公約数

某進学塾在籍時の教えです。「大多数のニーズに答え、少人数意見は切り捨てる」という意味です。端的に言うと、落ちこぼれは切り捨てろ、ですね。私の方針は真逆なので、当時雇われの身であり違和感を覚えつつ自己責任の範疇で補講をやっていました。若かった私は次の人がやりにくくなることを全く考慮しませんでした。つまり、過剰な補講に慣れた生徒・保護者にしてみれば後任者が平均以上の面倒見でも満足せず「面倒見が悪くなった」と不満を感じるわけですね。少し大人になりました笑
 
そしてOneSelfを立ち上げて15年が過ぎようとしていますが、理想は高くなり、それに近づいては更に上を見て…ループ中です。ウチでお預かりしている8割以上の子どもは普通に伸びます。残りの2割は伸び悩み、それが非常に気になるわけです。そんなとき、まずは分析を始めます。消去法ですが「先天的な(ADHD、LD、ASなど)ものがないかどうか、最近の精神・健康状態はどうか、それらを細分化して対処を考えます。
 
ところで、ワンセは少しマイルドになりました。20年前のような精神論は通用しない時代になっていますから。桜宮高校の体罰による自殺問題も拍車をかけました。果たして全生徒平均や合格実績は上昇しています。唯一下がっているデータが「途中入塾生の成績上昇率」です。最高値は144点でしたが、ここ数年は120点前後です。ただ、この数値でも他塾の追随は全く許さない状況だと確信しています。暗記に対する追い込み力が弱くなっているのでしょう。(弱くなってこれか、と思われるかたのほうが多いと思います)ここでも大幅に成績が上昇していない子や、その親御様に申し訳ない気持ちになります。
 
「アットホームで温かさの中に厳しさがある塾」は変わりません。でも、やはり100人お預かりすれば100通りのアプローチの仕方があります。だって「子育て」ですから。前述の「分析」の結果にどれだけ自分が首を突っ込んでいいの迷うことが時折あります。「愛情」を全面的に押していますがもちろん血のつながりはありません。「親でないのに…」どこまで私に任せていただけるのかで対処法は変わってきます。指導の基本は「わが子に躾・教育するのと同じ感覚」で接することです。
 
ただ、子どもたちの特性の中でLDやアスペルガー、病院に行くと診断はされないけれど何らかの異変を感じたり、病名のつかない何らかの一時的なアクシデントに見舞われているケースがあります。また、成長期になり今までと同じ接し方では問題がある場合もあります。そして、それを周囲の大人が気づかない場合、子どもたちは真っ暗な道を光のない状態で放り出されているような心境で苦しいのに気づいてもらえないのです。
 
こんなとき、親御様に伝えるのかどうか悩みます。そして、告知した責任をもてないという理由で大半はお伝えしません。でも、私は手探りでその子にあったオリジナルの処方箋を探します。塾ですから勉強を見ればいい。でも教育者として気づいたことがあれば対処したい。マイルドになり力業で勉強させる機会は減り、即効性は弱くなりました。ただ、一人ひとりにかける思いは今までもこれからも変わりません。