2023年6月5日月曜日

ギフテッド

 ギフテッドとは「天賦の才を持つ人」(私は特殊能力とも呼んでいます)という意味で、同世代の子どもよりも先天的に高い能力を持っている人のことを表しています。 ギフテッドは、特定の学問や芸術性、創造性、言語能力などにおいて高い能力を持っています。つまり天才です。当然ながら天才は特別な能力を持つ数百人や数十万人に一人(もっと少ないかも)です。ただし、その他大勢の子たちとは前提が大きく異なることを無視すると偏った知識になる可能性があります。

 テレビ番組でギフテッドの子のプレゼンを見ました。いやはや天才中の天才です。私など全く足元にも及びません。そんな彼が漢字について熱く語っているのをみて、日本の将来はこういう若者にかかっているのだと思いました。

 彼の考案した新しいスタイルの漢字ドリルは大谷翔平選手も取り入れた9分割ノートのようなものでインプットする(覚える)ときにアウトプット(使いこなす)までするのです。その代わりに「数回書くことは時間の無駄」というZ世代ならではのタイパ思考です。ちなみに、世間では幼稚園児から小学生ぐらいまでをQ世代と呼ばれ、既に研究が始まっているそうです。

 ここで大切なことがあります。彼らギフテッドは、覚えることは既に当たり前になっているのです。よって、知っていることを書くのは時間の無駄、という理論でその時間をクリエイティブなことを使えばよいという発想です。ただ、大半の子は、小中学校生までは知識を重ねて基礎を確立し、暗記脳や思考力を育む時期です。そんな子たちに覚えるために大切な書くことを省略すべきではないと考えています。

 実際、既に漢字でよく似た取り組みをしました。インプットよりアウトプットのほうが大切なのは事実なので短文作りに力をいれようとした時期があったのです。1.2割程度の子が想像力を発揮して創作できましたが、大半は適当です。考えることを放棄している子が多いのが現状です。算数をしていても、1行レベルの文章問題で何を聞かれているのか理解できない子が急増中。短文作りができるような基礎学力がないのです。当然のように暗記もできていません。

 ギフテッドにしか通用しない思考や勉強方法であるのに、楽なほうへ流れやすい子どもたちに「書かなくてよい」「暗記は大切でない」という風潮になるのは極めて危険です。また、コミュニティに属することはルールを守ることだと知ることも必要です。ギフテッドは、自ら創始者となって新しいコミュニティを創れるでしょう。ルールを守れる人が新たなルールを創ってコミュニティを創ることはできます。特殊能力なしに、小中学生時代からルールを守れなかった子が創ったコミュニティ(ルール)についてくる人がどれだけいるのでしょう。

 ただ、ギフテッドにとって日本は村社会で居心地が悪く感じることが非常に多く、ストレスを抱えることも然り。そんな少数派の人たちに向けての対応は国がすべきだと思います。将来の日本を担える優秀な人にはそれなりの敬意を持って環境を用意することも大切です。

 大阪では清風高校が世界に通じる数人にエリート教育をする、と鼻息荒かったですが、国公立大学入試すらまともに合格させられないのにギフテッドを養成できるはずありません。こういったことこそ国の援助が必要です。

 つまり、ごく一部であるギフテッドには敬意を持って国が対応することと、その他大勢の子には小中学生代は基礎固めが肝要で、同じベクトルで考えてはいけないということです。