2015年5月9日土曜日

大阪都構想

住民投票まで約1週間となりました。私の周りでは反対票が日増しになっているよう感じます。大阪都構想は、言わずと知れた橋下徹大阪市長の肝いりの政策です。ただ、今回ほど論点の噛み合っていない論争を知りません。都構想に向けて維新の会がアピールしているのは
「無駄をなくして教育へ」
塾業界に在籍する私としてはもっともな意見のように聞こえます。では、なぜ論点が全くかみ合っていないのでしょうか。
まずは、どうして都構想が出たのか。これはあまり報道されていませんが、日本の国債発行額(借金)は国民一人あたり800万円を超えました。さらには大阪府民としての公債(借金)もあります。これを減らすために無駄を省いて健全な地方を目指そう、というのが都構想の起源だと記憶しています。間違いのない事実として大阪の借金が5兆円規模であるということです。橋下知事時代より、公債(借金)残高は減少しています。それを更に減らそうというのが橋下市長の主張。
 反対派は後出しじゃんけんを続けています。橋下氏の政策に対して「嫌だ」「自分の給料を減らした橋下氏を支持しない」という感情論しか聞こえてきません。議論とは「その意見には反対だ。代替案として○○がいい。なぜなら~だからだ」とするものです。大前提である借金まみれをどう返済させるのかを放置して「借金を減らす方法には反対だ。なぜなら今までのような楽(贅沢)ができないからだ」という主張を反対派がしていることに違和感を覚えます。例えば大阪独自の老人パス。あれば非常に便利で高齢者の外出が増えるのは間違いありません。でも、それも税金が投入されているのです。大阪の立場で考えたらおかしな話ですよね。借金しておごってあげるわけですから。それも生活必需品でないものへ。
 私が都構想の反対派が気に入らない理由は橋下市長の発言の揚げ足取りや粗探しばかりで自分たちが代替案(借金の返済方法)を全く触れないことです。個人的に、かつて橋下氏が大阪知事になることに大反対でした。茶髪のナンパな人が知事になるとは信じられません。名誉欲や出世欲、自己顕著欲の強いのは見ればわかります。ただ、その手段として真面目に政治していることにスポットを当てるべきです。
かつて新型インフルエンザが流行したとき、大阪府と兵庫県が率先して検査をしました。結果、陽性反応が出てばい菌扱いされ、修学旅行先で大阪民だとわかると露骨に嫌われたことを覚えておられますか。海外で流行し、日本政府が水際対策と言っているとき、すでに東京で感染者がいました。大阪でも学校での集団感染を確認しています。つまりとっくに日本に上陸していたのを隠していたのです。なぜなら東京で大きな国際会議を控えており主催国としてご当地が感染したことを知らしめたくなかったのです。感染していることを前提に防衛手段を講じた2府県がばい菌扱いされるとは「正直者が馬鹿をみる」典型的なケースです。
 私は大阪都構想に賛成でありません。時期尚早だと思うからです。まだ充分な議論をしていない現状でこのような重大なことを決定していいとは思いません。ただ、大切なことはまともな議論をすること。「嫌だ、変わりたくない」では夕張市のように財政破たんする可能性もあるわけです。そうではなく、多額の借金を減らすべく「どのように財政を健全にするのか」考えるところからです。でないと既得権益を手にしている人たちの「変わりたくない」「変わる必要がない」今まででいいじゃないか、という甘言にのってしまいます。借金しておごる人を目の当たりしたら、その人をどう思いますか。
そのようなことをきちんと論議すべきです。現状維持は無理だということが前提です。大阪都構想をきっかけに家庭などで政治について議論する機会が増えることを切に望みます。