2024年9月14日土曜日

秋の高校レポート番外編大阪桐蔭・好文学園女子

  大阪桐蔭は起死回生を狙ったエクシードクラスの第一期生が卒業し、東京阪神への合格率では推定大阪トップになりました。そんな大阪桐蔭の無常観について。

 旧大阪産業大学附属大東校舎のとき、偏差値40前後で第二次ベビーブームでピークで生徒集めに困らず左団扇(ひだりうちわ)でも、あぐらをかいていても教室が足りないほどの時代です。教員の年収も今よりはるかに高かったです。そんな時代が永遠に続くと無意識に夢見ているのが普通なほどバブルでした。いち早く、少子化を予測し、男子校から共学化、それに備えて野球部を創設し甲子園で初優勝して一気に知名度が爆上がり、ミーハーな(死語)女子高生が集まりました。同時に平日夜遅くまで強制的に勉強させ、入口の偏差値からはあり得ない程の合格実績を出し続けました。特色を出して選ばれる高校創りのパイオニアですね。

 ただ、経営については度々マスコミを賑わせました。「塾接待に100万円バッグ」「模試費用の流用」「大阪産業大学を大阪桐蔭生は全員受験」などは、大きく報じられた代名詞でしょう。体質はかなりブラックですが、対生徒に関しては真剣な時期、手抜き時期、クラスによって対応が大きく異なる時期があります。高校部門ではⅠ類Ⅱ類の生徒が全然集まらず、大半の生徒がⅢ類という状況になっていました。

 好文学園女子は旧大阪福島女子で、昭和の末期から大きく変わった学校です。福女時代から生活指導面で推しの高校の一つでした。偏差値は30少しだったので、偏差値70前後の高校と同じベクトルでは考えていません。一番の目安は退学率です。当時、退学率3%前後が平均で偏差値に反比例していましたので、退学率が3%未満なら良い高校です。生徒指導に力を入れ、学校が落ち着いてからは新たな学科を増やし、学力も向上しました。何より、学科毎の特色が明確で、お預けした卒業生を例外なく伸ばしてくれました。これは大きなポイントです。全盛期の大阪国際大和田もそうでした。

 勢いが衰えていくと、例外が出始めます。件の大阪国際大和田では特待生レベルを専願でお預けしても結果が出ない子が数年続きました。合格実績が良くなり、学校の先生方が予備校に行かなくても大丈夫!と言い続け、予備校に通った子の合格率が高く、そうでない子の合格率が低迷しました。何度も「予備校なしで大丈夫」と言わないで欲しい、旨を伝え通塾率が上がり合格率も上昇して落ち着いたところで合併と新校舎移転で人気を博します。それでも勢いは止まり、安定して良い高校になりました。

 好文学園女子はどうなるのでしょう。校長一人のマンパワーでは目の行き届く限界を感じた今年。授業見学はしておりません。期待値は高いものの、盛者必衰になるのか、不死鳥の如く羽ばたくのか、非常に注目しています。

2024年9月13日金曜日

秋の高校レポート②大阪産業大学附属高校

 本日は大阪産業大学附属高校にご訪問。早速レポート。校風3、授業態度3、教授力3.5、お勧め度3.5。弟分の大阪桐蔭がエクシードクラスを作って大成功をおさめ、兄貴分の意地として特進Sを新設します。偏差値55~60ぐらいの東高校レベルの子で、本気で勉強したい・引っ張っていってもらいたい子には良い高校です。大阪産業大学附属大東校舎(分校)から大阪桐蔭になり、偏差値40代から叩き上げて進学校になったノウハウを生かせば、今後近隣の一番手校になれる可能性を感じます。お勧め度3.5ですが、特進Sに関しては4.5or4相当です。

2024年9月11日水曜日

秋の高校レポート①大阪国際高校

 いよいよ訪問する時期になりました。校長が変わって良くなる前兆がありました。前校長には多くの苦言を申し上げましたが、改善されれることはなく、就任前に危惧したことが具現化されるという残念な結果でした。そんな大阪国際のレポート。校風4、教授力4、授業態度4、お勧め度4。長らく授業見学をしていますが、Ⅰ類の授業では非常勤率が低下したのか、下手くそな授業をする先生が減っていました。公立との差を歴然と感じます。授業とは全く関係のないことですが、若い女性の先生が露出高めの服装だったのは時代の流れ。髪の毛の色はあまり、というか全く気になりませんが、女性の先生がそういう服装をするのは男子高校生にはあまり良くないという考えがハラスメントに抵触するのでダメなんでしょう。でも、やっぱりワンセの緩い服務規程でも露出高めは控えてもらいますね。

最近の出来事

 9月に入り、卒業生やその保護者の方と偶然すれ違ったり会う機会が何度かりました。既に卒業生が「親」になっていたり、保護者の方が「じいじ・ばあば」になっていたりで時の流れを感じます。親になった卒業生は「この先生はめっちゃ怖いから〇〇したらあかんねんで」と異口同音に言っているのが面白いです。私は、変わらず元気に楽しく教壇に立っています。たまの日曜日の夜には、事務所に行きたい衝動に駆り立てられる「サザエさん症候群ワンセバージョン」に陥ります。勉強を教えいている時間が何より好きなのでしょう。ただ、学校の先生と塾で悩んで塾を選んだのは、自分の伝えたいことが伝えられるからです。教育に対する思いはかなり深く、熱いです。勉強面で成績を上げるのは当たり前。一番成績を上げているからこそ、色々なことを教えられると考えています。教えるためには指導者である自分の背中が美しなければいけません。また、何歳になっても情報のアップデートを怠ってはいけません。そんな思いは教壇に立つ限り不変です。ただ、子どもたちに「教育」できる知識を追求することを止めてはいけません。
 
 ブログネタは多いのですが、どこまで書いていいのかデリケートなので一旦切って授業ネタ。受験生は鯰江FRが良い感じで、できることが増えています。緑SKは社会で、緑ISは数学が良い感じです。部活を完全燃焼させた緑OKや鯰江MKは常に早めにやって来て良い勉強をしています。志望校がほぼ決まりつつある中で、合格に向けてモチベーションを上げていき今年も志望校全員合格継続させます。中2は少し中だるみを感じる学年。小テストに対する意識や勉強に対する意識が低下気味。まあ一般的な中2といえばそうなのですが、少々歯がゆいです。ただ、ここでお尻を叩くと大切な受験前に息切れする子が出てくるので、最低限度のことをしてもらって来年の追い込みに期待します。中1は夏休みにペナルティを復活させました。あまりにも小テストに対する意識が低い子がいたからです。すると、ペナを溜めて次回のテストを迎えて勉強をして来ずペナが雪だるま方式になる子がいました。それでも何もして来ず、LINEでペナができなかったので減らしてください、提出を延期してください、とよくわからない交渉する子がいました。何もやって来ず、今後も何もせず、一方的に悪びれず自分の主張をすることに当惑しました。これがZ世代なのかと感じました。ルールを守れず、一方的な自己主張をして嘘で塗りためた言い訳をした子のことを思い出しました。当たり前が通じにくい時代になっているのですね。それでも教育者が諦めたら子どもは学びの機会を失いますので、時代に合った注意の仕方をしていこうと思います。ちなみに中1は菫MHと緑THMが良い感じでできることを増やしています。

2024年8月22日木曜日

大阪府高校入試~後編~

 前編では事実を中心に書きましたので、後編は主観100%でいきます。

もうね、日本の教育は迷走中です。文科省のお達しは教育の現場を知らない人からのものでずれまくっています。アクティブラーニングに代表されるように、肝いりの企画もあっという間に無き者にされます。次の無き者はバカロレアでしょう。海外の大学に通学するのが前提の学科に、大阪府だけで1000人規模の希望者が出るとは思えません。

 今回の大阪府高校入試改編には文科省・大阪府教育委員会・政治・私立中高の各々の言い分があるわけです。でも、それらから一応独立した機関である大阪府学校教育審議会が今後の大阪府の教育の在り方について「提言」しました。

 維新が大阪の府政をになったときもそうですが、それまでの事前準備は全て白紙になります。昨年、私立の無償化に吉村知事が非常に強いこだわりをもち、具現化しました。結果、私立専願者が大幅に増加し公立高校の約半数が定員割れ。本来は、大阪府において上位校を公立にしたい府教委の思惑通りです。そこに、公立高校が不人気であると聞き、口を挟んだ人の意見を、マスコミが思いの外報道して「大阪府公立不人気を解消しないと」という流れになります。ただ、現場として誰がそれを望んでいるのでしょう。

 府教育委員会や大阪府学校教育審議会を聞いていると、有識者は本当に現場を知らず、引っ掻き回しているだけだとも思います。現場を知らない教育委員会も然り。私立中高は、昨年度は無償化問題で、今年は高校入試の時期について大阪府と丁々発止の最中です。

 私から、乾いた笑いしかでない、公立(文科省)私立の方針について。文科省は中学校現場に読解力の向上をスローガンに掲げて授業時間外に対策をするよう要求しています。現場としては、そんな時間やノウハウがないのでかなり苦労しています。何より、国語の授業で考えさせたり、心情理解について意見を聞いたり、正しい文章の作り方をしていないのが一番の問題です。週に4回ある国語の授業で生徒たちが頭を使う授業をすれば思考回路が養われます。これは、週に1度の塾の授業では残念ながら徹底できません。授業を疎かにして、補講するとは笑止千万です。

 また、私立高校は質の高い教育はお金がかかると言っています。つまり、授業外で有料の講座を設けるということです。一見、まともな意見に聞こえます。そもそも、私立にしろ公立にしろ、質の高い授業をしている学校がありません。これは、毎年継続して学校現場(授業)を見に行っている人間として感じていることです。自校の授業レベルを低下させておいて、質の高い教育にはお金がかかるとは本当にどうしようもありません。今、「予備校なしで国立大学に導いてくれる高校はどこですか」と聞かれたら「残念ながらなくなりました」と答えます。

 私は常々、学校は表、塾・予備校は裏の存在だと考えています。だからこそ、中学校の先生の立場を優先しています。それでも、北野高校や、京大に合格しようとしたら大多数の人に塾・予備校は必須なのです。塾業界に身を置く人間ですが、非常に嘆かわしい。研究熱心な先生方が多い学校もありますが、そこに指導できる人がいないのです。何を指導すれば学力向上につながるのか全く知らないのです。理想は塾などなくても学校教育だけで進学できることです。

 今回の高校入試システム変更で「大人の事情」により多くの受験生が大変な状況になります。ワンセに通塾している子たちは対応できても、情報をしっかり持っていない受験生は何を勉強してよいのかわからない状態になるでしょう。特に一年目は未知なものに効率良く対応できるはずがありません。腹立たしいことに、焦る受験生の親につけこんで〇〇ゼミという全く役に立たない有料補講を増やす塾が一気に増えます。ぼったくり塾が幅を利かす時代はまだまだ続くでしょう。耳当たりのよいフレーズと塾生が多いという理由で塾選びして、塾ジプシーが増えると思われます。全うな学校と塾だけが残るの理想です。

2024年8月18日日曜日

大阪府高校入試~前編~

 8月16日(金)に大阪府学校教育審議会が行われました。大阪府の今後の教育方針について、色々審議する機関で、教育委員会とは異なる独立した組織です。今回の審議会では大きく3点の公立高校入試選抜改革案が提言されました。

1.アドミッションポリシーを重視する(以後「AO」)入試選抜方法の模索

2.入試時期の早期化及び実施回数

3.複数受験

 順番に考察していきましょう。まずは1について。AO入試選抜は大学で広く導入されています。現在、公立高校では入試順位90%~110%の受験生に対し、高校がAOによる独自基準で合格者を選抜できる仕組みがあります。例えば、募集人数が300人の高校に330人の応募があったとします。点数が330番目でも「自己申告書」の内容が自校のAOに非常に似つかわしい場合に一発逆転で合格になる方法です。実態として、文理学科では400名~500名超えの受験者でAOによる逆転合格は1年に1人いるかどうかの究極の狭き門です。ただ、一部の総合学科のように1割前後をAOで合格させる学校もあります。元来、普通科と異なり、特色のある総合学科ではアドミッションポリシーが独特のため、選抜しやすいという背景があります。大半の高校で有名無実化し、受験者の負担が重い自己申告書を全員に強制させるのをやめ、AO選抜志願者のみ書かせるということです。また、受験方法自体を高校に一任し、大学の公募推薦のように各高校独自の入試方法で受験できるようになるということです。

 2「入試時期の早期化」について。令和7年度の大阪府高校入試スケジュールは次の通りです。

2月10日私立高校

2月20.21日公立特別選抜

3月12日一般入試選抜

現行の 公立入試は一般的に「特別選抜」「一般」の2回受験する機会があります。そこに含まないものとして大阪公立大学工業高等専門学校(通称「高専」)と公立高校2次試験がありますが、こちらの詳細を知りたいかたは直接ご連絡ください。特別選抜と一般選抜を一本化、つまり2月下旬に行うということです。

3「複数受験について」上記により受験機会が減少するので、受験生の機会損失にならないよう第二希望まで出願できるシステムです。現在は東高校の理数科・普通科に出願すると理数科の合格最低点に到達していなくても普通科の合格最低点に達していれば普通科生として「廻し合格」と似ています。大阪の私立高校では広く導入されているシステムですね。これを公立高校では異なる学校への「廻し合格」できるシステムです。例えば第一希望を北野高校、第二希望を大手前高校にした場合、北野高校の合格最低点に不達でも大手前高校の合格最低点に達していれば大手前高校合格できるということです。1度の入試で2校受験できる利点があります。

 以上が、現在の中2から改革を予定している内容になります。AO入試導入が寝耳に水の内容で、今後注視して各高校の情報収集に努めます。AO選抜では高校毎に教科・実技有無・自己申告書比重を自由裁量で決定できるので、初年度の対応は極めて難しいものになるでしょう。また、大阪府私立中高連合会は私立入試時期の早期化の検討を宣言しました。私立・公立の競争を避けるために早期化をしない方向、という前言が撤回されたようです。予想では、私立入試が1月25日頃、公立AO入試は高専方式で1月下旬実施、公立一本化入試が2月20日頃です。予想なので、外れても恨まないでください(笑)。現中2からの実施になると、決定後、早急な対応が必要です。「廻し合格」は便利ですが、策略が必要ですね。確実に公立高校に合格したいならば、第二希望の高校は少し下のレベルにする必要があります。一か八かなら、よく似たレベルの学校を選択するでしょう。天王寺と大手前などですね。

 ただ、小回りの利く個人塾なのでワンセは有利な状況です。また、入試時期の早期化は、私にとってどうでも良いことです。日程が決定すれば、そこにピークを持っていく調整をするだけです。大手塾にとっては3月の公立対策が2月の私立対策ができなくなり大幅減収になるので、猛反対していますが、そんな民間意見など全く耳を傾けることはない機関にたかが民間企業は意見できません。私の興味は入試問題の難易度です。現在のABC問題になり10年が経とうとする中、C問題の対策が確立できたものが白紙になります。ちなみに、かつて前期試験で国語の小論文が課された元年は、横書き・縦書き文字数・時間などあらゆるバージョンを練習して量で勝負しました。初物が出題されるならば、多種多様な情報があり、対応できる余地のあるワンセは有利です。情報量は絶対的な自信があります。

後編では主観に満ちた内容をアップする予定です。

https://news.yahoo.co.jp/articles/98bac3f6dd888f721f6c915412b71eaac3961208?source=sns&dv=sp&mid=other&date=20240816&ctg=loc&bt=tw_up

2024年7月30日火曜日

7/29の出来事

 昼から中3数学の先週行われた出来た者帰りを5回中1回も合格できなかった人がendless再テスト。この日は因数分解特集でした。少し応用問題で、高校生になって一番最初に習う単元でもあります。毎年、秋冬になっても正答率の低い子は低いままの単元で、今年は一念発起して全員に出来るようにしたいと考えています。国公立大学も医療系・理系・経済学部が多く、文系のほうが少ないワンセ生。中学生のときに理系センスを感じた子は1割程度です。センスを磨けるかどうかは、いまから卒業までの向き合い方で決まります。

 そんな今日は公立前期理数科数学にチャレンジ。当時、天王寺・大手前に存在していた偏差値70オーバーで北野高校よりも格上の学科でした。トップは緑SHで緑SK、ISが続きました。良い感じで数学が見え始めてきた2人に続き、点数以上に期待値のある緑YH。中学生時代には花が開かなくても、同じ努力を継続すれば高校生で大きく飛躍できるでしょう。

中1国語は係り結びの法則をしました。宿題・課題の不徹底が課題のクラスで、2年ぶりにペナルティ制度を復活。本当はネガティブではなくボジティブに勉強して欲しいのです。ただ、自分に甘い子を優しい言葉で引っ張っていく方法を知りません。巷で褒めて伸ばす、という話をよく聞きますが、大半の子は褒められると、勉強しなくなります。夏期講習が1クール目が終わり、及第点は菫MHぐらいでしょうか。全く勉強してこない子はいませんが、言われたことの8~9割程度する子が多いです。これが人によっては6割程度になり、この数値を全員10割にするのが当面の目標です。